『あぁ、俺さ、ここ来んの久しぶり。』


「うん。」


『ごめんな。いっつも我慢させて。』


「うん。」


『俺さ、考えたんだ。』


「うん。」


『来年の茉莉の誕生日にちゃんと祝う方法。』


「うん。」


『つうか、茉莉に嘘つかせない方法?』


「うん。」


『ピンポン鳴らす?』


「うん。」


『おぅ。押すぞ?』


「うん。」


ガチャ…………

鳴らさずに開いたドアの向こう。

携帯を耳にあて、にっこり笑う彦星。


『結婚しよう。』


涙が止まらない私を笑いながら抱き締めた。


「間に合わなくてごめんな。」


祝ってくれる日が大切な日。


「恭代に怒られるな。」