「何をしてるんだ!」

そう言うと、村松さんは、姉の腕を素早く掴んだ。

村松さんは、薄紫色のバスローブを着て、裸足だった。

髪からは水滴がしたたっている。

入浴中にあわてて出てきたのだろうか。

姉は村松さんに抵抗することなく、部屋の中に引き戻されてしまった。

「ちょっと待ってください!」

私は姉の後を追って、玄関に滑り込んだ。





「とりあえず、座ろうか」

村松さんは言った。


赤いソファに、私と姉は並んで座った。

「インスタントですまないね」

村松さんは、そう言って、濃いコーヒーを出してくれた。


スターバックスコーヒーのマークが付いたマグカップだ。