集合場所に行くと案の定、少ない。
アタシを含め3人。
どうしろっていうんだよ。
「えっと…とりあえず行きましょうか。」
1人が声をかけた。
組長は誰一人として居ず、アタシの知らない人だった。
「えぇ。そうですね。」
アタシはそう返事を返して歩き出した。
「辻村、さんですよね。」
「え?はい。」
歩きながら1人が話し掛けてきた。
「僕、松岡です。この前の辻村さんの道場の試合見ましたよ。」
「松岡さん、ですか。道場…あぁ。」
思い出した。
あの腹立つ男をぶちのめしたときだ。
「僕もあんな風に強くなりたいですよ。」
「私なんて…まだまだですよ。」
なんて話していると「ケッ!」と声が聞こえた。
「なんだよ。松岡。お前コイツの味方か?」
「味方だなんて……倉田君。」
雰囲気でわかる。
倉田って人はアタシを嫌ってる。
「どうもはじめまして、倉田さん。」
アタシはわざとにっこりと笑って挨拶をする。
「言っとくけど、俺はお前を認めてなんかいねぇからな。」
倉田さんはそっぽを向いてしまった。
「ごめん、辻村さん。」
と、小さな声で松岡さんが詫びる。
「僕とアイツ同期なんだ。負けず嫌いなんだよ。」
「松岡さんが詫びることなんてないですよ。それに気にしていませんから。」
アタシは前を向いて歩き出した。
倉田さんみたいな人もいれば松岡さんみたいな人もいる。
少し勇気でた。

