「無・・事か?」


アタシに覆い被さるように倒れていたのは歳三だ。


辛そうに片目を瞑りアタシを見る。


アタシは驚いて歳三を下ろそうとするが、力が入らない。


遠くでアタシを狙撃した野郎の悲鳴が聞こえた。

きっと誰かに殺されたのだろう。

だけど、そんなことはどうでもいい。



「とっ・・・歳三?どうして・・・。」

「無事・・か?」



「無事」と返そうと思った。

だけど、自分の体のことは自分が一番わかる。



「だ・・いじょうぶ。」


次第に襲ってくる痛み。

手足が冷たくなるのがわかる。




わかっている。

わかっているんだよ。

寂しいけれど、悔しいけれど、どうしようもない事実を。



歳三はアタシの異変に気づいたのか目を見開いてアタシの頬を手で包む。



「嘘だ、ろ。お前・・そんな・・・。」

「愛し・・てる。」

「やめろ・・・んなこと・・。」


歳三はアタシにキスを落とす。

この世に引き留めようと必死に。



「歳三は・・・だいじょ・・・ぅ・・」



歳三は辛そうに顔を歪めた。