「お前がそんなこと言うのは珍しいな。」

「怖いんです。」

「大丈夫だ。」


そっとアタシを引き寄せる。

あったかい。


「俺ぁ、女っつーのがよくわからねぇ。こんなことでしかお前を支えられねぇ。」

「だけどよ、さっき言っただろ?“俺についてきてくれねぇか”って。」


「絶対にお前を護るから、側にいるからよ。安心しろや。」


土方さんは大丈夫。

側にいてくれる。

一緒に居てくれる。


「あはっ。丸くなりましたね、土方さん。」

「馬鹿。」

「始めてあった頃の土方さんとは全然違う。人間らしい。」

「るせー。」


ちょっと紅くなった顔を背けて土方さんが呟いた。






「好きです。土方さん。」






「知ってる。」







そっと、まるで壊れ物を扱うかのように優しくゆっくりと唇が重ねられた。

不安をかき消すように、側に居ることを確かめるようにそっと。



何があっても大丈夫。



屯所の庭でひらりひらりと桜が散っていった。