こんなに柔らかい表情は、ミズキが死んでから見たことがなかった。
「昔のことを思い出したの」
「昔…?」
「ミズキが逝ってしまう前のこと。あなたとの思い出も…」
落ち着いた話し方に涙が出そうになった。
こんなの何年ぶりだろう…。
「それで…今までなにをしていたのかわからなくなる…」
「母さん…」
「家庭を守ろうとしなかったあの人当て付けのように再婚しても…なにも変われなかった…」
それから話してくれた今回の離婚のこと。
原因は母さんにあったらしい。
子供を産まないと言い張った母さんと、跡取りを残したかった元旦那さんの意見の食い違いだったんだって。
「林太郎は…ミズキじゃないのよね?」
「はい…」
「昔から優しいから…林太郎は…。甘えすぎて…傷付けて…私が母親だなんて名乗れない」
そんなことないんだ…。
幸せな時間は確かにあったから…。
小さい頃、母さんに抱きしめられた感覚もまだ覚えてる。
俺の中で母さんはなにがあっても母さんだったから…。
「昔のことを思い出したの」
「昔…?」
「ミズキが逝ってしまう前のこと。あなたとの思い出も…」
落ち着いた話し方に涙が出そうになった。
こんなの何年ぶりだろう…。
「それで…今までなにをしていたのかわからなくなる…」
「母さん…」
「家庭を守ろうとしなかったあの人当て付けのように再婚しても…なにも変われなかった…」
それから話してくれた今回の離婚のこと。
原因は母さんにあったらしい。
子供を産まないと言い張った母さんと、跡取りを残したかった元旦那さんの意見の食い違いだったんだって。
「林太郎は…ミズキじゃないのよね?」
「はい…」
「昔から優しいから…林太郎は…。甘えすぎて…傷付けて…私が母親だなんて名乗れない」
そんなことないんだ…。
幸せな時間は確かにあったから…。
小さい頃、母さんに抱きしめられた感覚もまだ覚えてる。
俺の中で母さんはなにがあっても母さんだったから…。


