郁兄は心が広いはずなのに…。



さすがに性格があんだけ似てたらぶつかるか…。



「郁さん、数々の不始末はごめんなさい…」

「うるせぇよ。早くバイト代持って消えろ」

「遊びに来てもいい?」

「客としてならな。卒業するまでにせいぜい女らしさでも磨けや」

「こんな変態カフェ早く潰れちまえ」

「「あははははっ…」」



郁兄と紅はもう会わせたくない…。



恐ろしいふたりだ…。



ってことで、バイト代だけをもらって祭り会場に来てみたものの…。



気分が祭りじゃない…。



「ねぇリン、あたしって社会に出れないような気がするよ…」

「ん~、すぐキレすぎんだよ、紅」

「あたしにいちばん合ってる仕事ってなにかな…」



女王様しかないでしょ…。



と、思ったけどさすがに言えない状況なので黙っときます…。



「俺が食わせてやるよ?」

「うん…」

「でも紅も一緒にね?」

「まさか本気でバンド?」

「本気だってば」



いつかデビューとかしちゃってさ。



で、親達を見返してやれるくらいデカくなりたい。