「ま、その反応じゃ、気持ち伝わったみたいだな」




猛は独り言のようにそう呟くと、座り込むあたしを立たせてくれた。


このフロア一帯に人影はなく、一安心したあたしを猛は空港の外へと連れ出していく。




「さ、見送りも終わった事だし、姉ちゃん家行っていい?」



「え?」



「俺、久しぶりに姉ちゃんの作ったオムライスが食いてーな」




ニッコリ笑う猛は、子供の頃に戻ったような笑顔を浮かべている。


…そうか。猛は猛なりにあたしを落ち着かせようとしてくれているんだね。




「…うん、作ってあげるよオムライス」




そう答えたあたしは、駆け足で空港の外へと向かう。



涙なんか、当の昔に止まっている。


サンサンと太陽が光輝いている事は、建物の中に居ても充分に分かる事だった。




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