少し進んだ所で、佐田さんはあたしの方に振り返った。




「中森さん、アタシと少し話したからって、いい気にならないでよ!?」



「…へ?」



「浮かれた様子を一瞬でも見せたら、アタシは絶対に許さないんだから!」




ビシッとしっかりとした口調でそう宣言すると、佐田さんは満足したかのようにあたしの元を去っていく。



…なんだか、いつも佐田さんに調子を崩されるなぁ。

少し負けたような気がして悔しく感じる。


まぁ、あたしがあんな性格をお持ちの佐田さんに勝てる事なんか、一生ないんだろうけど。



それでも、あたしは清々しい程の達成感で胸がいっぱいになっていた。


あたしがこの世で苦手な物ランキングのトップ5に入っているであろう佐田さんが相手だったけど。




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