あたしは病気のことを忘れて、夢中で走った。


さっきみた光景を忘れたくって。


必死に、必死に

走ったんだ。



こんな光景を見ることになるなら、屋上なんか行かなきゃよかった。


そしたら、楽だったのに。


でも、実際に見てしまった光景は消えるわけなくって。



走っても、走っても、

生まれきたのは後悔だけだった。





     ◆◆◆ 




…何やってるんだろう。


しばらく走ったあたしの心は、冷静さを取り戻していた。



別に、隼人が好きでやったわけじゃないのに…

あたしは何をやってるんだろう。