緊迫した状況の中、年は明けた。
慶応4年になり、今日は1月10日も終わりの宵。
私達は江戸に、軍艦・富士山丸で戻ることになった。
「総司、中に入っていたらどうだ?」
私が甲板の上で風を感じていたら、後ろから近藤さんが声をかけてきた。
そんな近藤さんの肩からは、白い布がかかって、それに腕を通している。
―新選組の隊士に、銃で撃たれたんだ。
隊内に裏切り者がいたということ。
それは年の明ける前、12月18日のことだったと思う。
「近藤さんこそ、休んだらどうですか?」
「いや、実を言うと、総司と話しに来たのさ」
「なんだ、そうだったんですか」
近藤さんも私の隣で柵に掴まり、強く吹く風を体で感じる。
何気なく、過去の断片が頭をよぎった。
1月3日、土方さん達率いる新選組は幕軍となり、鳥羽・伏見で戦を始めた。
私と近藤さんは療養のため、大坂城に下っていたから、一緒に戦うことはできなかった。
でも、話はよく聞いた。
慶応4年になり、今日は1月10日も終わりの宵。
私達は江戸に、軍艦・富士山丸で戻ることになった。
「総司、中に入っていたらどうだ?」
私が甲板の上で風を感じていたら、後ろから近藤さんが声をかけてきた。
そんな近藤さんの肩からは、白い布がかかって、それに腕を通している。
―新選組の隊士に、銃で撃たれたんだ。
隊内に裏切り者がいたということ。
それは年の明ける前、12月18日のことだったと思う。
「近藤さんこそ、休んだらどうですか?」
「いや、実を言うと、総司と話しに来たのさ」
「なんだ、そうだったんですか」
近藤さんも私の隣で柵に掴まり、強く吹く風を体で感じる。
何気なく、過去の断片が頭をよぎった。
1月3日、土方さん達率いる新選組は幕軍となり、鳥羽・伏見で戦を始めた。
私と近藤さんは療養のため、大坂城に下っていたから、一緒に戦うことはできなかった。
でも、話はよく聞いた。