「だって……ユイは源氏名なんだもん!だから、ちゃんと澪って呼んで欲しいの……」


納得出来なくて、唇を尖らせながらお願いをした。


「もうユイって呼ぶのが、癖になってるんだよ!」


ため息混じりに言った廉は、何だか少しだけ機嫌が悪いみたい。


「でもっ……!」


「間違って店で澪って呼んだら、お前だって困るだろ?」


「それは……確かに困るけど……」


痛い所を突かれた事によって言葉に詰まって、何も言えなくなって俯いた。


「あぁ〜!わかったよ!そのうちな!」


廉は、面倒臭そうに言い放ってタバコの火を乱暴に消し、不機嫌なまま部屋に閉じこもってしまった。


それでも、あたしはどうしても納得出来なかった。


だけど…


廉に嫌われるのが恐くて、それからはこの事に触れる事が出来なかった。