手を離そうとしただけでまだ手は離していなかった。

動かしていないはずのドアノブが勝手に回る。

「え…。」

突然の事で、手がドアノブから離れなかった。

そして、勝手にも開いたドアに向こうから誰かが回しているんだと気づいた。

案の定、ドアの向こうにいた人は…

「…サボるとか、考えてんじゃねーよ。」

無愛想に口を開く葉介だった。

思わず図星を突かれて、あたしはカバンの取っ手を握り締める。

「…そんな事考えてない。今まで皆勤賞だし!」

反抗するようにそう言った。

葉介は呆れたように笑う。