「知らねー。」 葉介は、起きない夜志乃を放って部屋を出て行こうとした。 「…け。」 夜志乃の寝言に葉介はピタリと止まる。 「…そうすけ。」 葉介は眉をひそめた。 そうすけ。 爽介。 葉介は戻って、夜志乃の額に手を当てる。 「…夜志乃。」 優しく囁く。 「爽介。」 夜志乃は寝ながらも、微笑んだ。 「夜志乃。」 葉介はどこか儚げに笑った。