「馬鹿か、お前。」 バサッとタオルの感覚。 顔を上げると、葉介が立っていた。 「馬鹿。」 もう一回言われて、髪の毛を拭いてもらった。 「あ…あ、自分で出来る。」 子供じゃないからっ。 タオルを譲って貰って、拭き終わる。 「…紫陽花。」 葉介は指さした。 青い紫陽花があった。 「綺麗。」 あたしは言う。 雨の音で、あたしの声はかき消された気がする。