―†その頃のエインセル†―





エインセルはアリスからの命令で七瀬と飯田の後を一緒について来ていた。


一応妖精であるエインセルの姿は見えてはいない。




「オイ飯田。どうだ?」





二人はパソコンに向かってあることを調べていた。




「・・・確かにアリスさんはミューベルの第二子として産まれています」




「姉か兄でもいるのか?」




第二子という言葉に七瀬は眉を寄せた。


それに飯田は頷く。




「はい。兄が一人いますね。それから妹が」




飯田の言葉を聞くと七瀬は机に置いていた雑誌を手に取った。




「・・・雑誌の写真にもちゃんと写ってるしな」





雑誌の記事には何処かのパーティー会場の写真が載っており、そこにはミューベルの者達。
そして、アリスと少し離れた所にイオンがちゃんといた。




「しかもこの写真が撮られた日こそが、愛澤李兎が殺害された日・・・」





バサッと机に投げやる七瀬。




「アリバイはちゃんとありますね。やっぱりアリスさんは白ですよ」




笑顔でパソコンを閉じて言った飯田を七瀬はじっと見るとおもむろに頭を殴った。




「イッた!!何するんスか!?」




「うるせー。このロリコン。気持ち悪ィ」




(ホントよねぇ・・・)





涙目で抗議する飯田を冷たく突き放す七瀬に、成り行きを見ていたエインセルが共感して頷いた。


まあ、姿は見えてはいないが。