高校時代、女友達に「つきあっちゃえば?」と言われた事もあった。

でもそれは、出来ないと私は思った。

すでに、蒼は私の言うことは全て正しいと信じ込んでいたからだ。

「付き合おう」と言っても、「別れよう」と言っても、笑って頷く蒼が容易に想像出来てしまった。

きっと、こう言うのだ。

『チマが望むなら。』

そんなの、私には耐えられない。

蒼にとって、私はすべからく、絶対の存在なのだ。
また、私がそう仕向けてしまった。


だから、私から蒼にそんな関係を求めようとは思っていない。

蒼と私の関係は、小さな子供とお母さんの関係なのだ。

蒼の前では、無責任な事は出来ない。