もの思いに耽っていた私の耳に、突然悲鳴が聞こえた。

慌てて蒼を見ると、どうかしたのか?と不思議そうな顔をした。

「そ、蒼、今、女の人の悲鳴が…」

「ああ、聞こえたけど、それがどうかした?」

のんびりと何事も無かったかの様に、蒼は首をかしげた。

「助けに行かなきゃ!」

「またチマはそんな事言って。深夜の女の悲鳴なんて、きっとろくでもない事に巻き込まれるに決まって…」

ブツブツ言っている蒼をその場に残し、私は急いで悲鳴のした方向へと駆け出した。