翌日、旅行から帰って来た両親が旅先での一部始終を楽しそうに話していたけど、あたしはどうしても聞く気分にはなれなくて…


「しんどいから……」


嘘っぽい言い訳を零して、部屋に閉じ篭っていた。


雷の気持ちを知った今、あたしの頭の中は彼の事でいっぱいだった。


稔の事なんて、もうどうでも良かった。


むしろ、昨日雷から聞いた稔の話なんて頭に無かったくらい。


あたしの脳裏には、雷の悲しそうな微笑みが焼き付いて離れなかった。