「せやな……。俺さ……」


雷は呟くように言った後、すごく悲しそうに微笑んだ。


「杏里の事が、ずっと好きやった……」


そして、あたしを真っ直ぐ見つめながら言った。


「え……?」


あまりにも突然過ぎる言葉に、自分の耳を疑う。


そんなあたしを余所に、雷は話を続けた。


「お前の事が好きやから……初めてあいつを見た時、お前の事を奪われた気がしてめっちゃ悔しかってん……」


どこか寂しげにそう零した雷が、指先であたしの涙を優しく拭った。