至近距離恋愛 -Hero-

「稔、会計……」


「立て替えといてや」


振り返った稔が、無表情のままあたしの言葉を遮った。


あたしは小さく頷いて、レジで会計を済ませた。


頭を下げる店員を見向きもせずに、そのまま外で待っている稔の元に急いだ。


「稔!」


「ありがと」


稔はクッキリとした目鼻立ちの顔をクシャッとして、優しく笑った。


彼が笑う時に見せる、このクシャクシャな笑顔が好き。


稔に笑顔で応えて、手を繋いで歩き出した。