簡単にメイクを済ませ、ヘアアイロンで寝癖を直していった。


大学に入ってからショートカットにしたあたしの髪は、それ以来ずっと短いまま。


髪、伸ばそっかな……


時々、ロングヘアーに憧れてはそう思うけど、結局はショートカットが定着していた。


ピョンピョン跳ねている髪を丁寧に整え、軽く見えるようにワックスで癖を付けた。


そして、やっと支度が済んだ頃…


「……杏里」


部屋の外から、雷が気まずそうにあたしを呼んだ。