至近距離恋愛 -Hero-

「はいは〜い♪」


調子良く返事をした雷は、ニッコリと笑ってソファーから立ち上がった。


「出来た?」


「はい、どうぞ!」


雷の前に乱暴にグラスを置くと、彼はコーヒー牛乳を飲んだ。


「おっ♪さっすが、杏里!」


雷は、切れ長の奥二重の目を細めて微笑んだ。


「あたし、もう一眠りするから絶対起こさんといてよ!」


「アホ!ちゃんと朝飯食え!」


雷は、踵を返したあたしの手をすかさず掴んだ。