至近距離恋愛 -Hero-

あたしも稔も、唖然とした。


あたし達の事をチラチラと見ていた周囲の人達も、キョトンとしている。


それもそのハズ…。


あたし達の目の前にいる人は怪人の仮面を被り、黒い衣装を着ているから…。


「何やねん、お前っ!!放せやっ!!」


あたしが驚き過ぎて呆然としていると、稔は声を荒げて強引に右手を引っ込めた。


「邪魔すんなやっ!!っつーか、お前誰やねん!?」


彼が眉をしかめながら訊くと、怪人の衣装を着た人があたしの手を握った。