至近距離恋愛 -Hero-

「ふざけんな!お前、ほんま何やねん!」


逆切れした稔が、周囲を気にせずに怒鳴り散らした。


「それは、こっちの台詞やんか!あたし以外にも彼女おるんやろ!?」


あたし達は公衆の面前にも拘わらず、言い合いを始めた。


「はぁ!?何やねん、それ!」


「今言ってたやん!」


「知るか!勝手な事言うなや!」


稔は叫びながら左手であたしの腕を掴んで、右手を振り上げた。


殴られるっ……!


そう思った途端、誰かが稔の右手を掴んだ。