至近距離恋愛 -Hero-

あまりゆっくりする訳にもいかなくて、数分もしないうちに稔の待つベンチに戻った。


「稔!」


少し離れた所から声を掛けたからか、彼はあたしの声に気付かなくて…


仕方なく、ベンチの近くまで歩み寄った。


「みの……」


「……だから、ラッキーやろ?」


稔の事を呼ぼうとしたあたしは、彼が電話で話している事に気付いて立ち止まった。


「この間会ったオンナ、めっちゃ簡単に金貸してくれたから、今日返す金が出来てん♪」


え……?