遊園地に着いてすぐ、稔は財布から一万円札を二枚取り出した。


「これ、先月借りてた分な。ほんまに助かったわ!」


「うん……」


「この間借りた分は、もうちょっと待っててな。その代わり、昼飯は奢るから」


「うん、ありがと……」


あたしは小さく頷いて、稔からお金を受け取った。


彼は、相変わらず笑みを浮かべている。


「ほんなら、行こか」


満面の笑みで言った稔は、あたしの手を引いて入口のゲートを潜った。