ぶっちゃけ、お勉強サボっちゃいました。

 もれなくダリウスの説教がついてくるのは覚悟しなければいけないけど、背に腹はかえられないのだ。

 え? なんでかくれているのかって?

 それが私の作戦なのだ。

 なんの手がかりもないまま闇雲に探しても、きっと同じ結果になるだけだろう。だから必死に考えた。確実に彼を見つける方法を。
 そして閃いた。

 私が彼を捜すのではなく、『彼に私を捜させればいい』んだ!

 以前、お母様から聞いたことがあった。

 病弱なお母様に外の世界を教えるためお城をぬけだしていた、ライラ伯母様の話。お勉強をさぼって行方不明になることもしょっちゅうだったんだって。

 そんな伯母様を捜しだすのは、親衛隊長の役目だった。

 つまり、私が行方不明になったと知れば、ダリウスかシレネあたりが捜索(そうさく)を頼むはずだ。さすがの彼も断るわけにはいかないだろう。
 私はかくれて彼が見つけてくれるのをじっと待てばいい。

 うん、我ながらグッドアイデア!

 ──さあ、あの不良騎士め。早く見つけにいらっしゃい。そのときが、あなたの最後よ!

 胸にかかえた愛用の剣をにぎりしめて、暗くせまい場所でニヤリとする。

 …………なんか悪役っぽいな、私。
 まあ、いいか。

 彼が来たときに備え、あらゆる戦術を練りながら待つことにした。