「ただいま」 玄関に仁王立ちしてるのはお兄ちゃん。 「何さ」 「杏奈、何やねん、その顔」 「ほっといて」 「城之崎財閥の御曹司と何かあったんか?」 しばらく沈黙が続く。 「新情報聞くか?」 腕組みをしたお兄ちゃん。 「もうええわ」 「なんでや?」 「どうせ嘘情報や。大雅が、金持ちの息子なんてありえへん」 「信じたくない気持ちはわかるけど、真実や」 「じゃあなんでバイトなんかしてるん?」 「そこや。俺が仕入れた情報、聞きたくないん?」