その頃…………


咲は、校内をうろついていた。



「杏ちゃんどこのクラスだっけ?」




開場前の学園は、人がごった返していて


咲一人が紛れていても、怪しまれない。




その時

チャイナドレスを着た女の子を見つけた。



「ねぇ、あなたちょっと良いかしら?」



後ろから声を掛けた。



「はい?」


振り返った女の子は、杏樹と同じくらい可愛かった。


「…あの
神崎杏樹って子…知ってる?」



「えっ…?杏樹ですか?」

女の子は目を見開く。


「知ってる?
私、その子に用事があるの」


「……どういうご用ですか?」


「ちょっと…チャイナドレスを着せようと思ってね?」



チャイナドレスという単語を出すと、


女の子の強張った表情が緩む。



……この子は、杏ちゃんと仲が良いわね!