怖いんだもん……すぐに誰かに取られそうで……。


陸を引き止めるものが、何もないから…



「杏ちゃん………いい加減に……自覚して下さい。」

「は?」

「取り柄ならあるだろーが。」

「なに…?」




「俺に安息の場所をくれること。傍にいなかったら、狂うんだよ。杏は俺の唯一無二の精神安定剤。
頼むから、いつも隣にいろな?」



首を傾けて顔を覗き込む。


「わかった?」


小さく頷いた。


「俺から離れることは、一生ねぇから。まぁ『別れて』と言ったって、別れてやんねぇけど♪」

「あたしだって、絶対言わないもん」



ニコッと陸に向かって笑った。



「だよな。杏ちゃん、俺のこと好きだしな?」

「えっ?……好きじゃないけど?」


あたしの返事に固まる陸。