顔を見ると、僅かに目を開く。



「杏…………?」

「ん………」


呼び掛けると身じろぎをした。


「杏っ…!」


起きてくれたっ…と思ったら…


「うるさい……」

「は………?」


そういうと…ゴロンと背中を向けて寝てしまった。


手は握ったままで……。


「杏ちゃん………うるさいはないよね?」

「貴方……うるさい。眠たいから寝るの。邪魔しないで」




パシンッと握っていた手まで振り払われる。



俺……可哀相じゃない?




だんだんと…拒否された悲しさが、イライラに変わり……。


なんで…俺がこんなに言われなきゃなんねぇんだよ。




「杏。……いい加減、起きろ」



無理矢理…体を起こした。