ゆっくりと手を伸ばす。


指先で触れてみた。


「・・・・・・。」

「杏…ちゃ…ん………」



咲さんが泣きながら、陸の胸元からの出血を押さえてる。



触れてみた赤いモノは、血だった。


数ヶ月前……あたしも大量に流したモノだから、よく知ってる。



「マリナを攻撃すれば、大切な大切な陸君が死んじゃうわね?」


目の前が、別の温かいモノでよく見えない。

それでも、マリナの方を向く。


「なんで…?なんで陸…?」

「だって、アンタが1番大切なものを苦しめた方が、面白いじゃない?」

「面白い………?」

「陸ったら、マリナがどんなに誘惑しても、アンタしか見ないんだもん。
マリナがね、1番可愛いし1番じゃないと気が済まないの!!」



キッと睨んでくる。