「やっぱり……知ってる……」


知ってるというより、体が覚えてる…。



サラサラの黒髪


柔らかくて白い肌


細くて華奢な手足


ほのかに漂う甘い匂い


さくらんぼ色の小さな唇


優しい声


飛び切り可愛い笑顔



彼女の全てを覚えてるんだ…。


でも………


「お前って……俺の何……?」


俺にとって…どういう存在…?

どういう関係…?


それが、どうしてもわからない。



なんでわかんねぇんだよ…?


誰よりも安心出来るのに…落ち着くのに……。



俺が忘れた子は、絶対に彼女だ。


「ごめんな……忘れて……」



静かに眠る彼女に、優しく口づけをした。