財閥の御曹司だから、病室は『ホテルか!?』ってくらい豪華…。
大きなベッドの上には、静かな寝息をたてて寝ている陸がいた。
頭に包帯を巻いているが、それほど酷い怪我ではなかったらしい。
「…よ……よかった……」
急に力が抜けて…床に座り込んだ。
頬を温かいものが伝う。
唇に落ちて来たものを舐めると、しょっぱかった。
あたし……まだ……この人のこと好きだったんだ……
忘れようとしたのになぁ…。
手で拭い、立ち上がる。
「お手伝いさんから受け取った荷物を片付けないとね…。」
でも…その前に………
「……陸が怪我をしませんように……」
ベッドに近付き、陸の頭を撫でた。


