地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐



目を逸らしたいのに、逸らせない。



今にも、泣いてしまいたいっ…




そういう時には、トイレに行って声を押し殺して泣く。


誰にもバレないように…。




想像してしまうんだ…


あの温かい手が、腕が、全てマリナのためにあって…



抱き寄せる時に力が入る指や、頭を上げる時の首筋をさする手…。



抱きしめると首筋と胸元に必ず顔を埋める。



『俺のモノって印』といって沢山のキスマーク…

見えるとこばかりつけて怒ってたけど……ホントは嬉しかった…。




『杏…おいで?』

手を広げられると…迷いなく飛び込めた。


1番安心出来る場所だったから…

淋しい時…キツイ時…泣きたい時……いつも抱きしめてくれた。