陸がわからなくなった。


どこまでが本音で、どこからが嘘なのか…。



会って話したいけど…

『バケモノ』

と思われてるんだよね…。

会ったらまた言われてしまうんじゃないかって…不安になる。




臆病者だなぁ…あたし。

陸の腕の中なら、なんでも聞けるのに…。


失ったら、ムリなんだよね…






悪夢のような仕事だけど、唯一解放される時間がある。



「杏お姉ちゃん、次はこれね!」


「はいはい(笑)」


算数の教科書を広げて、ノートに一生懸命計算式を書いている。



大樹君だけは、前と変わらずに接してくれてる。



「今日も算数?」

「うんっ!」



ニコニコ無垢な笑顔を向けてくれるだけで、少し心が楽になるんだ。