さっと、お弁当が元の位置に戻る。
「やっぱ美味い♪」
声がした隣を見た。
「……………陸」
から揚げを摘んだ手を、ペロっと舐める。
「杏、もう一個ちょうだい?」
「ダメ、あたしのおかずがなくなる」
プイっと反対側を向き、お弁当を食べる。
「杏の弁当って、自分で作った?」
「作ったけど…なに?」
顔は見ずに答える。
「…じゃあ俺にも作って来い」
「………………は!?」
なんで?…陸にはお弁当が出るでしょ!?
から揚げ食べたいなら、今日のお弁当もから揚げ弁当なのに…。
なぜ??
「杏の食いたい!」
「…ヤダ。めんどくさい」
べぇ―と舌を出して断る。


