こういう人には、近づかないのが一番。 って言う様なことを昔習った気がする。 それに習って、あたしはすぐにさよならするつもりだった。 「あ、あ、ありがとうございました」 あせる口調のあたしを変に思ったかもしれない。 でも、そんなのお構いなしにあたしは話を進める。 「助かりました!! 本当にありがとうございました。 では、失礼しま────────」 「待てよ」 ぐいっ そんな音がぴったりなぐわいに腕を引っ張られた。 傾いたあたしの体が受け止められたのは、この男の腕の中だった。