ジュエリードールがあった駅からここまでは西に一駅。 そして乗り換えて更に南へ四駅。 まるで接点が無いと思われる場所。 けれど確かに……アキちゃんは今目の前にいる。 こんな姿を見られるのが嫌で、思わず踵を返そうとした私に、 「待って」 そう言って彼は胸ポケットから何かを取り出した。 周りの従業員が何事かとこちらを見る。 当然だ。 相変わらず誰が見てもイケメンだと言うであろう人が、 自分の店の冴えない従業員に話しかけているのだから。