「どこでもいい?」



そう問いかけられて「はい」と頷いた。



アキちゃんのイメージだから落ち着いたバーか、それとも朝まで開いているパブか。



任せたまま車に揺られていると……到着したのは一軒の居酒屋。



その名も「ボロ屋」



私達が働く店のほど近くに存在する、名前通りのいわゆる大衆居酒屋だ。



「こんな場所でもいい?」



その言葉は申し訳ないとかそういう類のものではなく、



「俺さ、居酒屋好きなんだよね」



いたずらっぽくに笑うから、この時初めてアキちゃんに親近感を感じたような気がする。