裏口から厨房へ入ると、自分用に置いてあるブランデーをコップに注ぐ。



人手不足のこの店で、私は仕事を終えてから時間のある時は厨房を手伝っていた。



……と言っても、何をする訳じゃない。



注文に応じてお菓子を盛ったり、からあげを揚げたり。



あとは、オーナーのお気に入り。



そんな肩書きでちょこんと裏に座っているだけ。



どうしてだろう。



裏切りの無い愛が欲しいのに……まっすぐに向けられる雅人の気持ちから目を反らす事で、優位に立つことで、何かを知りたかったのかもしれない。