毛玉が帰ってこなかった俺のガレージ。



寂しくなりながら中に入ってまず薬を飲んだ。



相変わらず適当なメシしか食ってない。



俺は昔からプレッシャーに弱いらしく、親父の跡取りもこうして潰れた。



だから今回はやってやるんだ。



父に認められるくらいの男になる。



車から荷物を降ろしたらホッと一安心。



明日は入学式だから気も抜けないんだけど…。



なんだか久しぶりに眠れそうだ…。



ソファーに座ってタバコに火を着けて。



つけっぱなしのパソコンに向かって数分。



ポケットの中で鳴り出した携帯に浮かれた。



久しぶりに見るイニシャル。



「おぅ」

「理事長さんですか?」

「そうですが?」

「なんだか緊張する。久しぶりに先生の声が耳元で聞こえて」



俺は嬉しくて仕方ないよ。



また話せる。



ふたりだけの会話。



「毛玉は元気?」

「真央が嫁にもらったかも…」

「えっ!?じゃあいないの!?」

「忙しくて真央に預けてたら帰って来なくなった…」



毛玉は初めから真央が好きだったもんな…。