わたしは腕時計を見た。

学校が終わってすぐ出てきたけれど、ちょっと時間が遅い。

委員会やら部活やらをこなした後では、どんなに急いでもこの時間になってしまう。

家には父さんとお母さんが待っていてくれる。

そう思うだけで、自然と足が速くなった。

けれど…人通りの少ない道に入ったところで、気付いた。

―尾行されてる。

気配は…二人分だ。

実家が実家なだけに、幼い頃からこういう状況に慣れていた。

対処法もだ。

わたしは角を曲がるとすぐ、誰の家かとも分からない塀を飛び越えた。

そして身を屈め、気配を抑える。