「そういえばさぁ」

「うん? なあに、ひなさん」

2人で手をつなぎ、わたし達は歩いていた。

「正義くん、わたしに告白してきた時、『ずっと好きでした』って言ったわよね? いつからわたしのこと、知ってたの? どこかで会った?」

「ああ、それはね」

正義くんは優しい顔で、語ってくれた。

今年の春、正義くんは一年生にして、玄武の地位を受け継いだ。

何でも冬丘さんには小さい頃からお世話になっていて、でも正義くんが高校に入学する時にすれ違うように、卒業してしまったらしい。

卒業する前に、玄武のことを言い渡されて、戸惑いながらも受け入れた。

昔馴染みだった翠麻に芙蓉というサポート役を付けてくれたし、何とかなると思っていたのだけど…。

「白虎がオレによく突っかかってきて、正直、精神的に参ってたんだ。まあ悪く言うと、荒れてたんだけどね」