追憶 ―箱庭の境界―



「…いやですねぇ。眠らせただけですよ!私も人質は失いたくないですから。」

やれやれ、と首をすくめた。

未だです、
死なせはしませんよ。


「昨日やっと奴隷たちに作らせていた私の城が完成しまして…。そちらにご招待しますよ。お待ちしています。」

そう言い残すと、
その場で一瞬の光を放ち、
私はその場から離れた。


「……っ!?」
「瞬間移動か!」

リオン様の慌てる声。
声だけを残し、彼らの頭上から話し掛ける。


『まぁ…場所はお教えしません。ゆっくり来てください。あー…あと、それまでリフィル様は目覚めませんから、この心臓は大事にお預かり致しますね…?』

霧が舞うかの様に、
部屋中に私の声だけが拡がる。


この箱庭で、
奴隷たちに作らせた「私の城」。

この城こそが、
私とリフィル様の安息の地。
私たちの、
最期の場所となるのです。


あぁ…もうひとつ。
彼女も自由にして下さい。


『すみません。…もう一つ…。ルリ島へはその城から行けますが、開かずの間の鍵は私の手にありますから無駄ですよ…?では、近いうちにまた…』

高々な笑い声。

私はリフィル様の心臓を持ったまま、この城から離れるはずだった。