17・鬼の涙 皮肉な運命だ。 「心」を奪った側の我が、 今度は、 世界に「心」を奪われた。 赤い果実は、 我ら鬼が無くした「心」。 『どうか苦痛を忘れて。 どうか気を楽に。 どうか、ゆっくりと…』 其れは、 いつか我が相手に向けた想い。 「間違い」だと、 分かっていた…。 歪んでいると、知っていた。