それは、同じ三善とは思えなかった。 だらけた猫のような姿しか知らない僕には、今の三善は恐ろしく違いすぎる。 否。 普段の三善が、恐らく全て仮面だったのだ。 綾野は、当然のようにドアにもたれかかって見ている。 知らなかったのは、僕だけだ。 僕は知らない。 三善のこんな姿を。 『僕』ハシラナイ…………………ッ 「出てきなさい。『千秋』」 俺は、目覚めた。