僕は、家に一歩踏み込み、絶句した。 棚、棚、棚、棚、棚、棚……… 廊下には大小様々な棚がぎっしりと並び、大量の本や瓶が置かれている。 棚の上にも棚。 棚と棚の隙間にもきっちりと棚。 棚の中にも、棚が入っている。 古書や香の匂いが充満し、修学旅行で行ったどこかの寺の匂いに近い感じだ。 キラキラとした硝子の球が、瓶の中で上ったり下りたりし、その後ろの壁一面には、幾何学模様の描かれた白い紙が貼ってある。 薬屋か、図書館かといった廊下を抜けると、三善がガチャリとノックもせずに部屋を開けた。