「だってさ、智が毎日のごとく小春ちゃんの話ししてんだもん。そりゃ覚えるよー!」 そう言って、東雲先輩は熊切先輩を見てクフフ…と笑う。 「へ??」 「輝、お前っ――!!」 あまり大きな声を出さない熊切先輩が、怒りに満ちた声を出して突然立ち上がった。 「なんだよ智、顔真っ赤だぞー」 東雲先輩はこの場を楽しむように、熊切先輩の頬をつついている。 その手を熊切先輩は、バッと振り払った。 「輝、俺と帰るために来たとか言ってたけど…今日、バイトは??」 熊切先輩が目を細めて、無表情でそう言った。